過去の記事 ‘美容鍼灸セミナー’ カテゴリ
美容鍼灸の「本質」は「鍼灸の持つ特性を活かして健美を追求すること」です 
「健美」とは、「中医美容学」で用いられる用語で「健康を基礎として成立する美しさ」という概念です。
これまでにも述べた通り、中国には古来より、健康と美容は表裏一体の関係にあり、相互に依存し合っているものであるという思想が存在し、「健やかな身体は美しい」「人間の美は健康を基礎として成り立つものである」と認識されてきました。
「健美」とは、このような認識に基づいた人間の美しさを言い表した言葉であり、中医美容学が目標とする美の姿であるとされています。
同時に、このような認識から「美容」は「健康」と「治療」と一体であり、根底が同じであると認識されています。
人が美しくあるためには健康であることが求められ、健康であれば美しいということです。
また、何らかの疾患によって、健康と美が損なわれてしまった場合には、その疾患を治療することで、健康と美を回復することができます 
そのため、特に尋常性痤瘡や円形性脱毛症などの「損容性疾患」と呼ばれる疾患の治療は、中医美容の重要な要素となっています。
また、中医美容では、「鍼灸」「生薬の内服・外用」「推拿」「食療」「気功」などの中医学の治療法や養生法と同様の手法が、「健美」を達成するための方法として用いられます。
したがって、鍼灸は、中医学の治療法であると同時に、中医美容における主要な手法のひとつとしても位置付けられているのです。
そして、美容鍼灸は、鍼灸治療と同様に、日本では「鍼灸師」と呼ばれる専門の治療家が実践しています 
そのため、鍼灸は常に健康と無関係ではなく、心身の健康状態に目を向けず、形態的な美しさだけを追求する美容鍼灸というものはありません。
美容鍼灸は、あくまでも健康に基づく美を獲得するための手法であり、健康と無関係あるいは相反する方法として用いられることはないということが原則となります 
そのため、美容を目的として、全身と局所の健康状態の維持増進を目的とした施術から疾患の治療までを、必要に応じて臨機応変に行うのが、美容鍼灸の正しいあり方であり、一般的な「鍼灸治療」と「美容鍼灸」と呼ばれる鍼灸との違いは、その利用目的が「治療」であるか「美容」であるかという一義的な目的の違いであるに過ぎません。
そして、一義的な目的が美容であった場合に、その鍼灸は「顔面部に対する刺鍼が多くなる」「利用者が顧客(患者ではなく)である場合もある」などの一般的な鍼灸治療とは異なる特有の事情や特徴を持つことになり、「美容鍼灸」と呼ばれる場合があるということです。
そして、美容鍼灸の本質とは「鍼灸の持つ特性を活かして健美を追求すること」であると表現することができるのです 
日本健康美容鍼灸研究会
北川 毅
「美容鍼灸」という分野が注目を集めており、美容という新しい目的と需要が生まれたことによって、鍼灸は新しい利用者層を獲得しています。
しかし、反面では「美容鍼灸」という分野がまだ未成熟な分野であることから、様々な誤解や問題も生じており、将来的に起こり得る様々な問題について危惧する声も少なくありません。
そのため、現時点で求められることは、美容鍼灸の知識と技術に関する教育だけでなく、美容鍼灸の概念、本質、目的、原則、注意点などについての啓発であり、美容鍼灸についての正しい理解を広めることです。
美容鍼灸を正しく実践するためには、前提として「美容鍼灸とは何か」ということ。すなわち、美容鍼灸の「概念」と「本質」について正しく理解することが必要です。
これはごく当り前のことですが、「美容鍼灸とは何か」「鍼灸治療と美容鍼灸の違いは何か」と尋ねられて、説得力のある回答を述べることができる専門家がどれほどいるでしょう。
実のところ、私はこの「美容鍼灸」という用語に対して一定の違和感を感じています。
「美容鍼灸」という言葉には、鍼灸の本来の目的である疾病治療や健康維持には目を向けず、「専ら美容を目的とした鍼灸」という強い印象を受けるからです。
そして、特に経験の浅い鍼灸師のなかには、実際にこのような誤った認識を持ちながら、美容鍼灸を行っている鍼灸師も少なくないようですが、それは「真の美容鍼灸」「正統な美容鍼灸」と言えるものではありません。
確かに、美容鍼灸は美容を目的として行われる鍼灸です。
しかし、鍼灸は、元来、疾病に治療や健康維持を目的として、東洋の伝統医学のなかで発展した治療法であり養生法であることを忘れてはなりません。
鍼灸の発祥地である中国には、古来より「健やかな身体は美しい」「人間の美は健康を基礎として成り立つものである」という思想が存在し、美容は伝統医学のなかで実践され発展してきました。
そのため、欧米や日本では、「医療」と「美容」はそれぞれに別の分野として区別される傾向がありますが、中国では、歴史的に両者の間に境界が存在しませんでした。
現代においても、中医学には、美容を専門に扱う一専門分野として「中医美容学」という科目が確立されており、鍼灸、生薬の内服・外用、推拿、食療、気功など、中医学の治療法と同じ手法が美容を目的として用いられています。
東洋には固有の伝統的な美容学が存在し、「美容鍼灸」はその手法のひとつとして存在しているということです(中国では「鍼灸美容」と呼ばれています)。
はじめに伝統医学があり、そのなかに手法として鍼灸が存在し、そして、その一分野として「美容鍼灸」は存在します。
そのため、美容鍼灸は、治療家たる鍼灸師によって、東洋の伝統医学の思想と理論に基づいて実践されなければ、正しい美容鍼灸であるとは言えません。
一義的な目的が美容であった場合にも、鍼灸はあくまでも鍼灸であり、美容鍼灸が私たちの認識する鍼灸と「別世界」ではないのです。
「スポーツ鍼灸」や「リハビリテーション鍼灸」などと同様に、鍼灸の一専門分野であるということです。
そして、ひとつの専門分野である以上、「美容鍼灸」といえども、その専門分野における十分な知識、技術、経験を身に付けていない未熟な鍼灸師が、安易に手を出すことは、正しいことであるとは言えません。
日本健康美容鍼灸研究会
北川 毅


